戦争ほど愚かなものはない
戦争を仕掛けるのは、その国家を支配している人々。彼らが平民にはできえない贅沢をし、その贅沢と特権を維持するために、支配している平民に愛国心を煽り、国家のために一命を賭けるのは国民として名誉なことであるという。かの地に行って敵を討つことはやむを得ないことであると支配している人々は言う。
それまで平和に暮らしてきた国民は、葉書一枚で敵を討つために家族と別れて戦地に赴くが、国家を支配している人々は決して戦地に行くことはない。戦地では、こうして愛する者と無理やり別れた者同士が殺しあう。殺した敵にも殺された味方にも家族がいて、家族を失った悲しみは戦後になっても消え去ることはない。
戦地に赴く兵士は、敗戦ともなれば愛する家族を失うと信じ込んでいるが、敗戦になっても国土はなくならず、国民も家族もなくならず、なくなるのは支配者層の交代。戦争を仕掛けた支配者層は、戦争責任を問われることを恐れる。一兵卒がいる限り敵を討てと言いながら、自分たちは敗戦後も生き残ることを考える。
平民は支配している人々のために生きているのではないが、支配している人々の考えに反対することは許されない。平和に暮らしたいと願う人々が初対面で、殺しあう戦場ほど理不尽なものはない。国家を支配している人々は、如何なることがあっても解決の手段として武力を行使することを許さずという国際法を作ろうとしない。