戦争は誰のため?
各国が軍隊を保有しているのは、自国防衛は自国でしなければ誰も守ってくれないから。近隣諸国との戦争や紛争などに長年苦しんできた経験から、どの国でも自国防衛のための軍隊を保有している。こうした考えは、仮想敵国がより強力な軍備増強をすれば、自国も軍備増強しなければならないということ。
インドが核を保有したとき、パキスタンも核を保有したし、イラン・イラク戦争後はイランが核を保有したのでイラクも核を保有しようとした。北朝鮮が核を保有したときにアメリカのトランプ大統領が日本も核を保有したらいいと言ったのは、こうした自国防衛の国際的な常識から。イランを仮想敵国としているイスラエルは核を保有しているとの噂もある。
日本は日米安保条約によって守られているが、アメリカにすれば自国の利益になるからで、それが損失になると判断したときには条約は破棄される。条約が反故にされることは良くある話。そこで日本は自衛隊という名の軍備を増強している。北朝鮮などの脅威に対してより軍備増強をしているのは国際的には常識。
ただ、このまま軍備拡張競争をしていると、いずれは核保有という考えも出てくる。こうした考えでいれば核の拡散につながっていく。軍備拡張は軍需産業にとっては嬉しい話。日本は非核三原則を基本理念としているし世界で唯一の平和憲法を掲げている。リスクはあるが安保条約を破棄して自衛隊も解体するのも選択肢の一つ。
軍隊は、つねにまさかのことを想定して仮想敵国に対する防衛や先制攻撃ができる体制を取るようにしている。日本は北朝鮮を真っ先に仮想敵国として対策を練るだろうが、中国やロシア、韓国すら仮想敵国として軍備を整えるようになるのかもしれない。果てしない軍備拡張、愛国心を煽るやり方は戦前の日本と同じ。
政治の世界は何ともやりきれないが、戦争そのものは古今東西、経済力のあるものが勝っている。戦争するには莫大なお金が必要。兵士を一人訓練して養い、道具を持たせて戦わせるには、数人が物資などを最前線まで補給し続けなければならない。そのためには最優先で経済力をつけることで、その方が軍備拡張に走るよりも勝利をおさめやすい。
戦争で勝利を収めるには、敵国民をせん滅する必要はなく、敵国が戦う意思をなくすように仕向ければよい。降伏だと言わせるには、戦う機能をなくせばよいので昔であれば兵糧攻め、近代であれば戦車や飛行機などの大量破壊兵器、少し前では、原爆や水爆などの大陸弾道弾ミサイル。
現代では、ピンポイントでの破壊を目的とした小さい範囲での小型原爆ミサイル、人工頭脳搭載のロボット兵士、ドローンなどの自動操縦の偵察殺戮兵器、通信機能をマヒさせ日常生活を送れなくするハッカー、ネット回線を乗っ取り麻痺させるハッカー。一瞬にして不審者を見つけ出す人工頭脳などが最新兵器になっている。
こうした兵器競争は、軍需産業にとって宝の山。政治家への献金は欠かさない。戦争を引き起こすのも政治家の判断、戦争を遂行し続けるのも停戦するのも政治家の判断、どんなに自国の人が死んでいっても勝つまでやり続けると叫ぶのは政治家。彼らのために戦っているのではとうがった見方をしてしまうこともある。