自分のやりたいことを仕事にする?
僕は経営者として半世紀以上生きてきたので、若い人が話している「自分のやりたいことを仕事にしたい」という考えには賛成だが僕にはできない。それは、働く人の理屈であっても経営者はそのような理屈で会社を運営することができないからだ。
企業経営者は、自分のやりたいことよりもこれから儲かることを見つけ出して、それを仕事にしなければ従業員に満足な給与を支払えない。ひとつのビジネスモデルで成功を収めて儲かっても、すぐに真似されたり、陳腐化したりして儲け続けることができない。
ヒット商品を出しても来年も同じ儲けが出る保証はない。そこで、新商品を開発していくが、それがヒットするとは限らない。消費者アンケートや消費者の動向を調査して新商品を開発しても売れないことは多々ある。
自分がやりたい仕事でも斜陽産業では儲けがなくて雇用されないことが多い。どんなに就職活動しても採用されない若者に、儲かっている産業に飛び込むことを勧める。今ならIT産業で、そこに就職できるよう頑張って勉強することを勧める。
伸びている産業が求めるスキルを身につけて就活すれば、すぐに条件の良い就職先が見つかるだろうが、スキルのないままに就活をしても、伸びている産業の会社は採用しない。自分のスキルを求めるレベルまで高める必要がある。