やんちゃジジイ
「MADURO(マデュロ)」という雑誌を貰った。60歳で定年になり渋さも増した男の雑誌だそうだ。流行に左右されないセンスや高級な持ち物をさりげなくしている。経験豊富で、楽しみ方も知っており、高級料亭などにも顔が効き、知的な会話で女性を楽しませる術も心得ている。雑誌のサブタイトルは「いつまでもジジイ、オシャレでやんちゃがイイ!」
江戸時代、定年退職は隠居という言葉で表した。隠居するまでは生活費を稼ぐこと、家業を次の世代に引き継ぐことに専念しなければならなかったが、隠居すれば退職金に相当する金銭も入り、自由な暮らしができた。多くの隠居ジジイは、道楽に励んだが、もっとも面白かったのは学問で、特に数学や天文学は人気だった。
代表たる人物は、千葉県出身の伊能忠敬で3度結婚して、49歳で隠居し、50歳で江戸に出て学問を始め、55歳で蝦夷地の測量をして幕府に評価され、71歳で「大日本沿海興地全図」を作成している。開国を迫る欧米人を震撼させるに充分な地図で、こんな地図を作れる日本と戦争するより貿易する方が得策だと思わせた。
蝦夷地以外の測量は、幕府の命による御用であり自腹を切らなくてもよい。日本中を旅して、地元の歓待を受け、美味しいものを頂き、地元民の協力を得て、日の出から日の入りまで大好きな測量に没頭する道楽三昧の毎日。日本ばかりでなく世界を驚かせたやんちゃジジイの代表格の人だろう。綺麗な女性を連れて遊ぶのも楽しいが、もっと楽しいシニアライフがあることを教えてくれる。