どうしてダメ親が家にいるのか
子供の頃は、家でゴロゴロして酒を呑み、母親に何かと指示する父親が嫌いだった。玄関は靴がぬぎっぱなし、キッチンは食材や調味料でごちゃごちゃ、食事が終わると寝そべってテレビを見ながら宿題はやったのかと言う母親が嫌いだった。
そんな僕は、勉強もろくにせず友達と遊んでばかり、将来の夢などないのに大人をバカにしていた。夕方になり、家に帰ると遊んでばかりだとろくな大人にならないぞと言われるが、僕はおまえよりましだと思っていた。
そして大人になり結婚し子供ができる。仕事で疲れ切った身体を引きずって居酒屋にも行かず節約して家に帰る。妻もパートで疲れ切った身体を引きずって家に帰ってくる。それから食事の用意をするが、収入が乏しいので見切り品のお惣菜やインスタント食品になる。
職場では、上司が怒鳴り、お客様のクレーマーで執拗に文句を聞き、頭を下げ、重い荷物を持って現場に立ちっぱなし、それでも働いているのは家族を養うためだと自分に言い聞かせている。家ではさすがにバタンキューになるが、子供の厳しい目線を感じる。
家ではのんびり休ませてくれと思っているのに、そんなことにはおかまいなく、安月給の僕におこずかいをせがむ、断ると機嫌が悪くなりプイっと外に出かけてしまう。ごろごろするんじゃねぇ、と妻に怒鳴っている。あれ?僕の子供の頃じゃねー。
人は見えないところで頑張っていても、理解してくれないことがある。子供は、学校と家の世界しか知らない。仕事の世界、お金を稼ぐ苦労など学校では教えてくれない。子供を養う結婚という苦労も教えない。バラ色の結婚などと教えられている。
人は見えていることでその人を判断しがちだが、観えていないところもあることを知っておくべきで、思わぬ評価で相手を傷つけてしまう。その人の一面だけを観て評価するのは避けた方が良い。