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言葉の暴力は忘れようがない

 

僕は幼い頃、おばあちゃんから「おまえは生まれなかったらよかったのに」とため息交じりに言われたことがあるし、父の兄弟から「おまえは一族の恥さらしだ。俺に近寄るな!」と怖い顔で叱られたことがある。傍にいた父は反論せずに兄の言葉に困惑していた。

 

僕の両親は、当時高校生の母が妊娠したことで親から勘当されていたのでとても貧しい生活を余儀なくされた。母の妊娠を知った父は別れたかったらしく結婚したが不仲で父の暴力が絶えなかった。そんな理由も知らない僕は父方の親族から苛められていた。

 

67歳になった今でもそうした言葉は忘れようがない。父が死んでから母親が、「おまえのことをお父さんは、実の息子だと思っていなかったので、つらく当たった。」と教えてくれた。僕の血液型はA型だが、長くAB型だと思い込んでいたため父が誤解したらしい。

 

ご近所の方も僕は実の子ではないとお父さんが話していたと聞いたので、父が僕につらく当たっていたのも合点がいった。生きているといろいろな目に合うが、今にして思えば、そうしたことがみな自分を成長させてくれた糧になっている。

 

周囲の態度を憎むのも人生、言葉に傷ついて落ち込むのも人生、自分はいらない人間なのだと教えられるのも人生、暴力をふるう父を殺したいと思うのも人生、たとえどんなになろうとも自分の人生は自分で腹を決めて切り開く、それもまた人生。

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