総合スーパーは売れない
全国どこに行っても総合スーパーは業績不振で悩んでいる。郊外型の専業店に価格で負けているからで、洋服ならユニクロやしまむらなど、日曜雑貨はダイソーなどの100円ショップ、食品は産直市場にそれぞれ流れている。商品の品ぞろえや価格設定ですでに専業店に負けている。
総合スーパーが出始めの頃は、商店街のどのお店よりも同じ商品が安く売られていた。商店街の店主が、その価格を観て自店の卸価格よりも安いのにビックリして嘆いていた。消費者は、今まで購入していたメーカー品が安く買えることに飛びついた。
今、商店街のお店は淘汰されて、目利きの仕入れができるお店、自作の商品を置けるお店、クリエイティブな作家を見つけてこれるお店が生き残っている。高いが一点モノだったり、ニッチなデザインモノだったりしている。特定の消費者に人気のお店になっている。
こうしたお店はえてして辺鄙な場所にあるが、消費者はこだわりのある魅力的な商品をネット検索するので家賃が安い場所の方が都合がよい。大規模な宣伝などしなくても、無料のインスタグラムやフェイスブック、ブログ、オークションなどで知っていただける。
専業店は、同じ商品を総合スーパーよりも安い価格で販売しているか品ぞろえを圧倒的に多くしている。見比べる楽しさや安さを訴求できる。総合スーパーは、消費者からは以前のような魅力ある商品が置かれているとは思えない中途半端な状態。買いたいと思わせる商品がない。
ネット販売の専業店も出てきて、メーカー出しの安い価格で勝負してくる。これまでの流通経路と違う、メーカーが卸をせずに直接ネットで消費者に販売している。大量仕入れをしてくれる大規模販売店のバイヤーに卸価格をたたかれる弱い立場から抜け出そうとしている。
日本の場合、総合スーパーは自社物件に関しては、総合スーパーを止めて食品スーパーに特化し、余った場所をユニクロやダイソーなどに賃貸するテナント貸しの不動産業になるか不動産を売却するかの選択を迫られるだろう。すでに百貨店や総合家電店でもこうした動きは起こっている。
IT技術は商売の方法を根本から変えている。これまで、近くのお店に行って気に入った商品を見つける時代から、ネット検索して世界中から気に入ったものを見つけてネットで購入する時代に変わっている。店舗運営で収益を出すのは益々難しくなっている。