退職金を数年で使い果たす
僕の父は高卒から郵便局員となり定年まで働いてきた。郵政大学に通い、和歌山県有田郡湯浅町の郵便局員から吉備町の郵便局長になり、大阪旭区や神戸市の郵便課長になり定年退職したので、そこそこ退職金もあったと思う。
しかし、退職して遊んで暮らす時間が豊富になるとパチンコや居酒屋に通うようになり数年ですべて使い果たした。公務員だったし母親も農協で長年、正社員として働いていたのでお互いに年金だけで暮らしていけた。
60代後半、パチンコ店からの帰りに溝に落ちて足を複雑骨折して手術。好きなお酒が悪さして喉頭がんになり手術。癌が至る所に転移して5回の手術を行い74歳で他界した。入院するようになると手術代がなく母親から援助をお願いされた。
老後の資金がたっぷりあると思って旅行や飲食、遊興に使っていると数年で使い果たす。母親に病気で必要なお金はすべて出すから安心してくださいと話して、大部屋から個室に移した。強気だった父もこの頃には観念しておとなしくなっていた。
お酒が大好きで、喉頭がんで顎の骨がなくてもストローでお酒を飲んでいた。お肉も大好きで、還暦を過ぎても焼き肉やすき焼きを楽しんでいた。人付き合いも良く、愛想も良いのでよく飲み歩いていた。倹約家だと思っていたが、お酒だけは違っていたようだ。