帰るから行くに代わる
山と海に囲まれて平野部が少ない和歌山県は産業が育たず、多くの海外移民を出している。移民の第一世代は、純粋に日本人という意識が強く、何かあれば日本が自分たちを守ってくれると信じているし、日本人であるという誇りを強く持っている。移民した海外での暮らしは貧しくても我慢して働いていた世代。
彼らの子供たちは、海外で産まれたので純粋な日本人というよりも産まれた国が自国になる。子供たちは日本語も覚えきらないし、日本の思い出もない。貧しい暮らしから学費を出してもらい学校に行き就職するが日系二世というだけで差別を受ける。自分にとって祖国とは日本なのか?
移民の第一世代は日本に帰ると言い、第二世代からは日本に行くと言う。彼らにとって祖国とは産まれた国であり、差別されても生きていかねばならない国である。日本が、移民していった国と戦争になると悲惨で、第一世代は日本を擁護するが、第二世代は産まれた国への忠誠を誓うようになる。
その第二世代は差別されても志願兵となり、肉親から馬鹿なことをするなと叱られながらでも産まれた国で生きていくため、忠誠を証明するために誰よりも勇敢に戦い犠牲を拡大する。多くの日系二世が戦死することでようやく日系移民の立場を認めてもらえるようになるが、第一世代にすれば受け入れ難い出来事。
どの国でも移民は多くの国で差別されるが、それを乗り越えるのは並大抵のことではないし、第一世代と第二世代では意識が違ってくる。肌の色が違い、顔つきも明らかにわかる状態では、差別もされやすい。移民を受け入れる国でもこうした世代間の意識の違いからテロに発展することもある。