僕は幼い頃、母親から家は貧乏だからお前には何の財産も残してやれないが、出世する方法を教えてあげると言われた。他人の成功体験談は、あまり聞く耳を持たないが、他人の失敗談は喜んで聞いてくださる。人は自分と比べて他人の成功を妬み、自分よりも大きな失敗をしている人の話を聞くとホッとする。

 

日々の生活に追われているとき、自分よりも成功して裕福な生活をしている人の話を聞いても何の慰めにもならないし、自慢をしているように感じるその方のように自分もなれるとは思えない。その方の自慢話を聞いているようで、何だか聞きたくなくなり、嫌味にも思えてくる。

 

日々の生活に追われているとき、自分よりも不幸な人の体験談を聞くとホッとするし、この人はそんな苦労をしていても耐え抜き、嘆くことなくやり続けて今の地位に上り詰めたのかと感心する。それなら、この人よりも不幸でない自分は、少し頑張れば今よりもましな生活ができるかも知れないと思えるようになる。

 

人よりお金持ちになった、人よりも高い地位に就いた、人よりも高価なモノを手に入れた、人より贅沢なことをした、人一倍勉強した、人一倍仕事をした・・・こうしたことは、ついつい自慢しがちだが、そんな自慢話を聞いて喜んでいるのは、話している当人だけだろう。頑張ってここまでやってきたなどということは話さなくてもわかるから、あえて話さないようにしなさい。