頑張れ、若者!
年末の列車は、帰省する乗客でいっぱい。還暦を過ぎた僕は、指定席でゆっくりと座っているが、多くの若者は自由席に座れず、出入り口にまで立って我慢している。僕も、若い頃は彼らといっしょで、同じように帰省列車の車中に立っていた。何の未来も描けず、何をしているでもなく、ただ漠然と生きているだけで、少しばかりの不安のある時もあれば、自信過剰になっている時もあった。
当時から40年が経ち、さすがに立っていることもなくなった。若い頃は、ただ、がむしゃらに生きていた。どんなに働いても、どんなに勉強しても明るい未来を描けない自分がいて、もがき苦しんでいる日々が続いていた。今となっては、それがすべて自分の血となり肉となっているが、若い頃は、ただ、裕福に暮らしている人がうらやましかった。還暦を過ぎた僕は、自信なさそうにして立っている若者に心の中でエールを送っていた。