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沈黙は金

 

起業した頃はたった2人だったが、会社が大きくなると社員も増えてそれぞれの部署で人が働くようになる。会社が急成長しだすといろいろな弊害が出てくる。僕は和歌山支社で教材の収録をしているので、東京スタッフに指示を出して直営教室をいっきに40教室に増やしたことがある。

 

あるとき、当社の税理士から「御社は赤字を出していますが、ご存じですか?」と聞かれてビックリ。東京本社直営事業部に聞くと、たくさんの直営教室を出したが管理が行き届かなくて赤字を出しているとのこと。どうしていいやら困っているので、赤字教室を巡回することにした。

 

直営教室に行くのは初めて、スタッフに合うのも初めてなのにどうも雰囲気が暗い。挨拶もされない。とある教室では、初めて会った教室長に泣きながら叱られた。「あなたは、このスタッフを解雇しろと本社で言いましたね!このスタッフの前で土下座して謝ってください。」

 

誰がそんなことを言ったのかわからないが、僕は素直に謝った。いっしょにいた直営教室のスタッフが、「社長、どうしてあのとき僕はそんなこと言っていない。君に会うのも初めてだ。」と言わなかったのですか?と聞かれた。そのスタッフに、真実を伝えるのは簡単だが、あそこで言えば教室長が傷つくと言ってあげた。

 

感情的になっている人に真実を伝えても感情は収まらない。それより、教室長の顔を立てて謝った方が丸く収まる。解雇されるスタッフも教室長に感謝するだろう。それでいいではないか。「沈黙は金、雄弁は銀」なのだよ。と説明してあげた。社長になれば、それぐらいの度量がなければ会社は大きくならない。

 

 

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