お酒とタバコが大人のしるし
戦後の昭和、ほとんどの大人はお酒とタバコをたしなんでいた。どこに行ってもお酒を呑み、いたるところでタバコを吸い、酔ってはバカ騒ぎし、タバコはポイ捨てが当たり前。それが大人であるかのようで、お酒が呑めない、タバコは吸わない僕は変人扱い。
汽車(戦後の昭和、紀勢本線は電車ではなく汽車が走っていた)に乗ると、タバコを吸っている大人がたくさんいるし、お酒を呑んでいる大人も普通にいた。汽車のトイレは便器から列車の鉄道が丸見えで、汚物はそのまま落下する。
弁当や新聞、雑誌などは社内に捨てられ、さながらゴミ溜めのような状態だった。夜行列車に乗れば、通路に新聞を敷いて寝ている。汽車はエアコンもなく夏の日中は窓を全開するが、トンネルに入れば煙が社内に充満するので、大急ぎで窓を閉めなければならなかった。
都会に出れば工場のばい煙で曇り、夏には光化学スモッグが発生していた。河川は下水を垂れ流して臭く、洗剤の泡があちこちに充満している。もちろん、誰も河川で遊ぶ人などいない。道路に歩道はなく、ダンプカーが狭い道を通り、事故も絶えなかった。
昭和40年代迄公害という認識がなく、働けば豊かになると信じて深夜早朝まで働いていた。都会の糞尿は船に積み込んで太平洋に流すのだが、たまに手抜きで近くに流して、海水浴場に汚物が流れてくる。昭和を懐かしむこの頃だが、あの時代に戻りたいとは思えない。