心で調理してこそ料理
僕は毎日調理しているが、いちばん大切にしているのは心。調理したものを食べることで僕の身体は作られ健康が維持される。食べる人の健康を願い、心を込めて食材を選び、穏やかに包丁を握り、速やかに調理する。
どんな料理も料理人の心が料理に現れている。心を乱して調理したものは味付けがダツでしょっぱかったり甘すぎたり…とても健康が維持されるような味になっていない。僕は、そんな調理を何度も経験して、心穏やかに調理しないと美味しくないことに気付いた。
僕のは家庭料理なので、高級な食材より少し傷んでいる見切り品を買ってきて、その食材をじっくりながめて、どこを捨て、どこを調理するのか決めていきます。まだ食べられるが少し傷んでいるだけで捨てられる野菜や果物ですが、立派な料理にすることができます。
冷蔵庫の余り物と買ってきた食材で、チョッとアレンジして五目麻婆にしてみたり、出汁をしっかり取って煮びたしにしてみたり、長芋を下ろしてごはんやお蕎麦といっしょに食べてみたり・・・多くの場合、食材が話しかけてきます。
「君は、どんな料理にしてほしいの?」「今日のあなたは、少し疲れていそうだからシンプルなポトフは如何?」なんて感じです。火加減も、弱火から火を止めて鍋の中で煮詰めたりすると喜んでいるような…そんな料理は買ってきた食材が教えてくれるのです。