40代で仕事を失くしたら
僕は44歳で仕事を失くした。会社に就職する気はなく、事業を始めるつもりだった。44歳で就職先を探しても、スキルや資格があり、再就職する会社の業務に関する経験を積んでいなければなかなか気に入った就職先は見つけられるものではないと思っていたからだ。それに他人に使われることが苦手だった。
起業するにも何をして起業するのかを決めなければならない。当時は、Windows95が販売されて、パソコンで電子メールやインターネット接続ができる画期的な時代だった。それまでのタイプライターやワープロとはまったく違って多機能なのだが、使い方をしっかり学ぶ必要があった。
しかし、パソコン教室はほとんどなく、あっても1時間1万円もする授業料を必要としていたので、もっと安価で誰でも優しく丁寧に学べる教室の必要性を感じていた。商工会議所でパソコン操作を教えていたので、この新しい分野で起業しようと決意した。開業資金は商工会議所からお借りするようにした。
事業計画は、全国を1200に分けて、そのうちの700程度に教室を展開するエリア制にしてFC方式で起業することにした。事業計画書は誰にもわかりやすいように書いて、借り入れ申請書に添付した。借入面談では面接官から褒めていただいたが、これは実現するのですかと聞かれた。
僕は、実現しなければ日本はデジタル分野で後塵を排することになり、技術立国日本の立場は怪しくなると力説した。面接官は笑いながらも融資の許可をしてくれた。その3年後、僕は全国に600のパソコン教室わかるとできる を開いた。起業は人々のためになると確信するもので始めれば成功しやすいと感じた。