お願いしやすい家族経営
起業して、儲かるのか廃業するのか瀬戸際のとき、資金繰りに余裕などないので、他人を雇えば雇用条件を守る必要があるので、給与の遅配や残業など頼みたくても頼めない。しかし、家族であれば「今、お金がないから我慢して」とか「あと少し残って仕事を片付けたい」などと言いやすい。
創業の頃は、誰しも必死で24時間働きづめで、労働基準法などはまったく守られていない。それに付き合ってくれる他人がいれば、それはそれはありがたい存在だが、多くの場合、仕事がきついからと辞めていく。成功すれば、誰よりも信頼できる役員となるが、失敗すれば一生憎まれる存在になるかもしれない。
創業者は、こうしたリスクを回避しようとするので、家族や親族を頼りにする。資金がなければ給与を支払わなくても文句を言わず、残業代が払えなくても文句を言わず付き合ってくれる。資金繰りのストレスから思わず、怒鳴っても、怒りをぶつけて平手で叩いても付き合ってくれる存在はなかなかいない。
こうして企業には家族が役員として働くケースが多くなる。ある社長は、他人だけで起業したが仲が悪くなると会社に出ていけなくなった。自宅にこもって資金繰りばかりやっているとストレスが溜まり心を病んでいく。儲からない状態になって資金が底をついて死んでいったが、家族が一緒に働いていれば給与なしでも助けただろう。
家族が会社の従業員となり、社長である父親を必死になって助けている姿があれば、その会社は成功するが、家族が会社の従業員となり、社長である父親を助けようとせず、仲が悪く、自分勝手な意見をぶつけているようでは会社を潰す癌となってしまう。だからこそ、創業者は家族から信頼されるよう行動しなければならない。
僕はラッキーなことに、創業時の他人が家族のように付き合ってくれた。彼らは残業も厭わず資金すら提供してくれ僕を助けてくれた。僕たちは必死になって働き、気が付くと日本一のパソコン教育企業だと評価されるまでになっていた。役員になっていただいた今でさえ、創業時の思いのままに働いてくださっている。