これじゃ低賃金で我慢するしかない
日本は職人の国で、技能職の職人がミクロン単位まで見極めて金属加工していた。こうした職人気質の製品は戦後の日本で製造され世界中で人気を博していた。今の、アイフォンやマイクロソフトのようにソニーやパナソニックの製品が売れていた。当然、日本人の給与は高給で世界に冠たるものがあった。
世界中の職人が日本に来て技能を習ったりした。工場では、最高級の技能を身につけたマイスターが弟子とも呼べる社員にその技能を教えていた。ただ、海外から来ていた彼らは受け継いだ技能をデータ化してオートメーション化していった。製造業はオートメーション化され、コストは大幅に削減された。
職人がひとつひとつ丁寧に仕上げる製品は高額だが、ロボットが仕上げる製品は低価格で販売できる。これまでの納品価格が下げられ、日本の製品は高くて売れない。儲ける海外企業の給与は上がり、職人気質の従業員を雇用し続ける日本企業は給与の減額やリストラに追い込まれる。
医療の現場でも、医師が直接診察すれば1日に30人だとしても、AIを導入してデジタル化すれば100人でも可能になる。儲けは3倍以上になるので導入したところは高給が支払えるし、導入しなかったところは低賃金で我慢するしかない。こうしたことが、いろいろな職場で起こっている。
受付も、人がすれば処理できる人数の何倍もデジタル化で処理できる。店舗販売でも、店員が販売する何倍もネットで売ることもできる。雇用を守ろうとしてデジタル化に遅れ、今のままでの商売を続けているだけでは賃金上昇は見込めない。ちなみに、デジタル分野の給与は他の業種より高給である。