社長はつらいよ 個人補償
中小企業の社長さんは、いろいろな契約で個人補償しなければならないことが多い。金融機関からの借り入れは個人保証人となり、さらに、個人の財産も抵当に入れなければ借り入れができない。不動産物件、リースなどの契約でも社長の個人保証人が必要で、万が一の事態には、個人の財産で補てんしなければならない。
会社が赤字で倒産ともなれば、個人補償した契約に関するものが自己負担となり、とても返済できる額ではない。自己破産も覚悟して社長をやらなければならないが、そのことを知っている従業員がいても気を使ってくれることはない。多くの場合、社長だけは特別な待遇を受けられるからうらやましいと思われている。
資金繰りほど会社経営で苦しいものはなく、金融機関を回っても赤字企業に貸し付けてくれる金融機関はない。僕も昔、地元の銀行では、とても悔しい思いをしたので、その銀行だけは付き合っていない。資金繰りに苦しむと、社員は給与を払ってくれと言い、業者は支払いしろと凄んでくるし、妻は、離婚してと言ってくる。
倒産した場合、個人保証していない従業員は転職すれば事は済む。副社長でも、専務でも、常務でも、個人保証していなければ退職すれば、何のお咎めもない。自己破産しても家族だけは守りたいので、倒産する前に離婚して、慰謝料として当座の生活費を別れる家族に渡す社長も多い。最近は、そこまで行く前に清算する社長が増えている。
「勝てば官軍負ければ賊軍」で、社長は好業績の時はチヤホヤされるが、いったん、落ち目になると非難・中傷される的になる。ビジネスは、毎日が新商品開発→販売の連続。チョッとでも気を抜けば、ライバル企業に負けてしまう。販路の拡大ができなければ、売り上げの増加や経常利益の増加が見込めず、昇進や昇給の確保はできない。