中国の躍進
35年前、アメリカにいるとき日本人留学生で懸命に勉強している若者に出会わなかった。多くは外国人に憧れてやってきており、彼らといっしょにいるだけで喜んでいた。学問を究めて何をしてのし上がっていくのかギラギラした目をしている日本の若者には出会わなかった。
当時、アメリカの大学で必死になって勉強している中国人は多くいて、彼らは親の仕送りだけでなく村中の人から金銭的な支援を受けていた。そんな彼らは大学を卒業するとアメリカで就職し、高収入を得て親に仕送りをしていた。20年もすれば彼らは立派な中堅幹部となり会社の中枢にいた。
中国政府はそんな彼らに自国に戻って起業することを勧めた。政府が後ろ盾になり資金面で優遇する。アメリカで技術や人脈を身に着けた彼らは、幾人かを連れて中国に戻って起業し、数年でアメリカに匹敵する会社にする。そんな中国の若者が今の中国のIT産業を支えている。
150年前、日本人の若者が欧米に行き、必死になって勉強し、日本に戻って起業して産業を興したのと同じことが中国で起こっている。当時の日本人が欧米に追い付け、追い越せと言っていたのと同じように、今の中国人もアメリカに追い付け、追い越せと思っている。国家の繁栄は若者の情熱で決まる。