戦争は国民の支持があってこそ
世情が不安定になり不景気になると、世直しを叫ぶ指導者が現れる。国を立て直すと叫び、国民の支持を得て国家の指導者になっていく。権力闘争に奔走する政治家の集まりである議会制民主主義では国家を立て直すことが出来ないと国民に訴え、反対勢力を排除しようとし、独裁者になることが必要だと国民に訴える。
景気をよくするために軍事産業を育成し、インフラ投資を活発にし、国債を乱発して、いっときの好景気をもたらす。国民は、この指導者こそ自国の繁栄と栄光をもたらす唯一の人だと信じる。政治権力を掌握し独裁者になった彼は、自分を守る親衛隊を組織して最高の武器を装備させる。
反対勢力を抹殺し、国民の支持を堅持するには、自国内の敵ばかりでなく、近隣の外国が敵だと訴えることがもっとも支持を得やすいことに気が付く。彼らこそ、自国の繁栄と栄光を妨げる最大勢力だと訴えるほど戦争は避けられないムードが高まる。国民は、戦争をやるべきだと独裁者に訴えるほど洗脳されていく。
戦争がはじまると、国民は喜んで戦争に参加するようになる。自分たちには最高の指導者がいるから負けるはずがないと信じ込んでいる。独裁者は崇拝され、彼のためなら死んでも惜しくないと思い込むようになる。独裁者が、戦争やむなしと国民に訴えると、喜んで支持してしまう。
敗戦になると手のひらを返したように独裁者を非難し、自分たちを戦争に駆り立てたのは彼なのだと責める。しかし、本当は彼の考えに賛同し、崇拝し、権力を集中させることに賛成したのは自分たちだということを忘れてしまう。戦争を引き起こすのは、国民の支持を得た独裁者であり国民にも責任の一端がある。