65歳未満の在職老齢年金では、老齢厚生年金の月額（以下、年金月額）と総報酬月額相当額と呼ばれる、給与の月額に年間のボーナスを12カ月で割ったものを足した額（以下、給与月額）が基準になる。年金カットの基準は、年金月額と給与月額の2つを足して28万円以下なら満額貰える。

 

これ以上になると年金がカットされるが、この支給カットは、老齢厚生年金だけを対象とし、厚生年金加入者にだけ適用される制度。フリーで仕事をする場合や、パート、アルバイト、自営業者など、厚生年金に加入せずに働く場合には適用されない。つまり、正社員にはなりたくないと思わせる。

 

主婦の方が働くとき、103万円の壁を感じるのと同じように損した気分になる。こうした税制度が主婦の雇用や高齢者の正社員雇用を抑制している。もちろん、チョッとした損な気分を我慢して、ガッツリ働けばそれ以上の所得もあるし、働く喜びも感じることができるが、なかなか思いきれないのが人情というもの。

 

こうした税制度を排除して、もっと主婦の方や高齢者が気分的にも積極的に働こうと思える税制度にすれば、正社員としてバリバリ働く人が増えてくる。当社でも、主婦の方は103万円にこだわるし、高齢者の方は28万円にこだわっている。社長として、どんなに説得してもなかなか思いきれないようだ。