わかるとできる物語 第5章 5 直営は日本一の業績を達成し続けねばならない
直営教室が日本一の業績を達成し続けることはFC本部が、本部指導を加盟校様に受け入れていただくには必要だった。これまでにも、直営教室では、吉村さん、石橋さんが日本一を達成してくださっていたが、本社では異端児扱いされていたので、せっかくのチャンスを大々的にアピールして、加盟校様の指導に活かすことはなかった。両人とも、当時の本社では大変苦労されたことと思う。
彼女たちは、直営事業部の部長のやり方があまりにもお粗末で、これでは直営教室自体が崩壊すると危機感を持っていた。そのことを部長に話しても聞き入れてくれない。常務に話すと、それは部長とよく話し合ってくださいと突き放される。社長に直訴しようとすると、途中で止められてしまう。直営スタッフは、社長には電話やメールをしてはいけないと言われていた。
僕が、直営事業部はおかしいと感じたのは、当社の担当税理士の方が毎月、莫大な赤字を垂れ流していることを教えてくれたからだった。東京本社を任せている常務に聞き出して、やっと置かれている状況が飲み込め、常務も担当部長を管理できないとのことなので、僕が直接担当することにした。常務の弱点は、直属の部下をどこまでも可愛がるということで情にもろい。それが裏目に出ていた。
こうして、吉村さんや石橋さんに出会い、直接現状を把握することができた。僕は、厳しい状況でも日本一の業績を達成できる彼女たちを高く評価していたが、本社では彼女たちは反抗的で「誰のおかげで飯が食える」と云わんばかりの態度ですと報告を受けていた。赤字にしかできず、遅刻ばかりの幹部と日本一を達成できる教室長なら、僕は最低の評価をされている日本一を達成した教室長を信じる。
加盟校様のように僕と会うことも話すことも電話することもメールすることも禁じられた彼女たちに心からお詫びして、直営教室の業績を回復して、常勝日本一の業績を達成し続ける直営教室が、本社FCとしては何としても必要であることを訴えた。最初の一歩として、黒字にしようと思ったが、手持ちの財産を現金化したがすぐに底をつくと資金繰り表をみながらゾッとした。
吉村さんは、再生見込みのない赤字の直営教室を閉校し、2つの閉校教室を買い取って独立起業してくださった。その後、加盟校(ありがとう㈱オーナー)として日本一の業績を達成してくださっている。石橋さんは、親の事情でしばらく退職しなければならなかったが、復帰して、開校、閉校、赤字、日本一の業績達成した体験を活かして本社SV(スーパーバイザー)として全国の加盟校様を支援してくださっている。
石橋SVは、みずから教室長として日本一を達成したばかりではなく、マーケティングもしない上司が決めた場所に単身乗り込み、スタッフ募集、機材取り付け、スタッフ研修、販促などを行い、黒字教室を創った経験や、みずから立ち上げた教室の幾つかを数か月して閉校作業をこなしていった苦い経験も持ち合わせている。復帰した彼女には、教室長ではなくその経験を活かしてSVになっていただいた。