わかるとできる物語 第1章 5 学習効果を最大限上げる
素直に聞いてくださる心の状態を作ることができれば、その方の上達は早い。面白く説明してはテストをし、厳しく講義をしてはテストをし、優しく講義をしては理解度テストを行い、歴史的人物の苦労話をしてからの講義での理解度が良いことが分かり、自分自身の成功体験談を話してはどうだろうか?自分自身の失敗体験談を話してはどうだろうかと試してみた。その結果、もっとも学習効果が上がるのは、僕の失敗談を話すことだとわかった。
僕はたくさん失敗してきた経験があり、それを話すことに抵抗があったが、自分の失敗談が生徒様の心を和ませてヤル気になり、学習効果が上がるならそれにこしたことはない。自分の家族にも迷惑がかかるかもしれないが、自分の失敗談を講義の中に入れて話すようにした。仕事や勉強での失敗談は話しやすいが、恋愛や離婚、子供の頃の話をするのは本当に辛かった。
子供の頃は、両親ともに若すぎる結婚のため喧嘩が絶えなかった。そんなことを話せば、父や母の顔に泥を塗るようで申し訳ない気持ちになるし、家が貧乏で食べるものも満足になく、畑に捨てている野菜や果物を拾って食べたなどと言えば、両親は辛いだろう。妻が浮気したのは自分のせいだと思っているのに、妻の浮気で離婚した話をすれば、別れた妻に申し訳ない気持ちになる。
何よりも、一部の生徒やスタッフからBUNちゃん先生は人生の落伍者だと決めつけられるかもしれない。あんな奴に教えられるのか?あんな奴が社長なのか?恥を知れと感情的になって向かってくる人もいるだろう。これまでと違って、僕が感情的にやり返せば、相手の思うつぼになり、僕は退場を余儀なくされる。平常心という鎧しか僕には許されないが、壊れやすくもろい鎧だ。世の中を変える気があったとしても我慢しきれるのだろうか?
植田さんから、自分たちが生まれてきた使命があるなら、パソコン教育を通じて人々に再起をかけて頑張る勇気と元気を与えることだと諭された。僕の失敗談を聞き、パソコン講義を聞いてハートに溜まっていたゴミがなくなり、素直に聞くようになり、ヤル気が生まれて、何事にも積極的になれる生徒の方が増えてきた。泣きながら、人生が変わったと言ってくださる生徒様もいれば、夫婦仲が良くなった、就職できた、社内の人間関係が良くなった、と言ってくださる生徒様もいた。