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自社ビルの怖さ

 

会社が儲かると儲けに対する法人税を節約するために自社ビル、社用車、社宅、保養所などを購入することがある。借金して不動産を購入すれば利息は経費扱いになる。貸借対照表では、資産が増えて借入金も増えるが会社の現金は減少している。ちょうど、サラリーマンが貯金を頭金にしてローンで不動産を購入した状態。

 

賃貸なら家賃は全額経費だが、自社ビルの借入金返済は返済利息だけしか経費にならない。返済の元金分は儲けから支払う。儲けの半分は法人税なので、残り半分で返済の元金の支払いをしなければならない。サラリーマンの感覚とは違って給与の半分は税金で消えると思えばよい。

 

これまで順調に稼いできた会社が自社ビルを借入金で建てると、途端に返済以外のキャッシュフロー(運転資金や給与支払いなどに使える現金)が少なくなる。ビルの修理費や維持費は賃貸とは比べ物にならないほど高くつく。少しでも会社の業績が落ちると返済に窮するのは、かつかつで不動産を買ったサラリーマンと同じこと。

 

サラリーマンなら節約生活できるが、会社は給与カットなどできない。リストラすれば業績がさらに落ちる。資金ショートして返済だけでなく給与支払いもできなくなり、社員からは恨みごとを言われて黒字倒産。サラリーマンなら給与はあるがローン返済できずに家族から責められあえなく自己破産のような状態。

 

車と違ってすぐに売って現金化できない自社ビルはお荷物でしかない。都内の一等地のようにすぐに売れる土地を持っていれば別だが、多くの自社ビルや保養施設、研修センターなどは売るに売れない土地にあることが多い。どうしてあんな別荘を買ったのよ!と家族から責められるお父さんのような状態になりやすい。

 

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