自社ビルを建てると会社が傾く
僕の知っている企業様で、借入金で自社ビルを建てて、その後も増収増益を果たしている企業様はほとんどない。多くは減収減益に苦しみ、資金繰りが悪化して倒産や廃業、買収されていった。自社ビルを建てて盛大な完成記念パーティに呼ばれて、社長さんは浮かれているが数年後は落ち込んでいる。
数億円もの資金を必要とする自社ビルを借入金で賄うと返済が生じる。この返済は利息だけが経費だが、元金は利益から出さねばならない。その利益には約半分の税金がのしかかってくる。これで資金繰りが悪化していき数年後、資金ショートする。好業績はいつまでも続くことがないのが原因。
企業経営者は儲かると半分も税金で支払うのがバカらしくなり節税対策を考える。自社ビルは本社勤務社員全員が喜ぶし、会社の信頼度も増してくる。カローラで銀行に行くのとベンツで銀行に行くのとでは行員の態度が変わるのと同じこと。見栄を張っておくことも大切だし社長室も豪華で広い部屋が欲しい。
しかし、儲けはいつまでも続かず焦っている間に業績は悪化する。資金繰りが厳しくなるが借入金の返済は待ってくれない。これが賃貸なら家賃は全額経費だし、家賃の安い事務所に引っ越して経費削減することも容易にできる。こうした理由から、自社ビルを建てた後、業績が悪化して自社ビルを手放すことになる企業が出てくる。