自由貿易から自国優先の貿易へ
自由貿易によって世界中で適地生産が行われるようになると、貧しい国が豊かになり富める国の中間層以下が貧困になってしまった。企業経営者は多国籍企業として富を蓄積するが給与支払いは海外の労働者になるので、経営者の給与は上がって労働者の給与は下がり貧富の差が広がる。
多国籍企業は税の優遇がある国へと儲けを移動するようになり、法人税が高い国を回避するようになり、税収が減少する。こうした動きを避けるために自由貿易にブレーキをかけようとする動きが起こっている。アメリカのトランプ次期大統領もこうした考えで中間層以下の支持を集めて当選している。
政治家の役割は自国民を豊かにすることで、多国籍企業の経営者のように貧困国に工場を建てて安い労働力を活かした生産を行い、商品を安く売って儲けることを優先する考え方ではない。20世紀後半から自由貿易に軸足を置いた政治家から、関税をかけてでも自国の富を優先する政治への変化が始まった。
自由貿易から自国優先貿易へ、自国優先貿易から自由貿易へと過去何度か繰り返されてきた。どちらにせよ、その度に世界は富を蓄積してきている。ただ、余りに自国優先主義に偏り他国をないがしろにすると戦争になっているので要注意でもある。