教育産業は過渡期に入ってきている
高収益企業だったベネッセHD 原田社長が二期連続して赤字の責任を取り退任した。赤字の原因である「進研ゼミ」の会員数が2016年、去年より11%減少した。昭和57年から子供(15歳未満の人口)の人数は減少しており、昭和25年ごろは人口の3割を超えていた子供たちが、現在では1割近い状態になっている。大学は全入時代となり、学習塾には厳しい環境となっている。
20年ほど昔は、大手学習塾に生徒が流れて個人塾や中小学習塾が淘汰されていたが、最近は、大手学習塾も淘汰される時代に入っている。合併する学習塾もあれば、他の業界に進出する学習塾もある。ベネッセは、進研ゼミという通信教育で伸びてきたが、タブレットを使った添削指導という新たな挑戦をしている。やり方によっては学習意欲も高く教育効果が高くなるが、先生次第であることに変わりはない。
18世紀までの教育は、個別レッスンで先生が生徒の家に通う教育だったが、産業革命期になると教育の必要性から学校という場所に生徒を集めて集団授業をして、教育の大量生産が始まった。21世紀に入ると、パソコンやタブレットやスマートフォンなどを使い、インターネットにつないで個別にレベルに応じて学習できる教育に変わりつつある。人工知能を使って、更に学習効果を高めようとする取り組みも始まっている。
21世に入ると、日常生活のあらゆる場面で高度な専門知識が求められる時代になり、教育の必要性は益々高まっている。日常生活ですら、教えて欲しい内容も日進月歩で変わり、幾つになっても学習し続ける時代になっている。チョッと教えて、ここだけ教えて、といった小質問、短時間学習が求められている。こうした流れは、一斉授業や学校という枠組みを変える力を持っている。