彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)
敵と味方の両方のことを良く知っていれば、百回戦っても負けることはない。敵情を知らないで味方のことだけを知っているのでは、勝ったり負けたりして勝負がつかず、敵のことも味方のことも知らなければ必ず負けるという教え。
幕末、多くの人が黒船来航に驚き、強引な交渉に腹を立て、夷敵討つべしと声高らかに叫んだが、海外の学問を学び、欧米列強に追いつかなければならないと考えること自体嫌われていた。敵のことを知ろうとすることが腰抜けだと言われた。
明治維新から太平洋戦争に負けるまでの70年ほどの間に、10回以上の戦いに明け暮れ、日本はアメリカのことをよく知ろうともせず戦争に突入していく。英語は敵国語で習うことや話すことすら禁じられた戦争に勝てるはずがない。
どんなに憎い敵であっても、戦うのであれば、相手を良く知りつくして強みと弱点を調べ上げ、できれば、戦わずして勝つ方法を探る。紀元前500年ごろの人が、すでにこうした考えに至るのに、2000年後の人でも感情的になって冷静に物事を考えない。