田舎の駅前再開発は不発になるケースが多い
僕が住んでいる和歌山県有田郡有田川町には藤並駅があり、急行電車が停まるようになってから、古い駅舎を新しい駅舎に建て替えた。その際、駅の両側に降りられるようにして幾つかのテナントが入居できるようにしていたが、行政の観光センター以外は入居していない。入居しても、田舎では利用者の多くが学生で利益が見込めないからだ。
田舎の駅の再開発では、大きなビルを建てて図書館や会議室などの公共施設が入居しても、飲食店や物販などの民間企業が入居しないことが多い。田舎では移動手段が車になっており電車を利用する大人は少ない。駅前再開発でも大きなビルを建てて駅前でお店を営む人を1階や2階の商業施設に入居させ、高層階をマンションとして販売する計画が多い。
しかし、旧態依然とした昔のお店のテナントは人気がない。高層階の住民も駅を利用する人々もこうしたお店でお買い物をしない。立ち退きの条件にお店を続けることとしたことが失敗になっている。お店を営んでいる人はお店をあきらめて高層階に無料で入居し、人気のあるテナントを誘致して、その家賃を案分する方が良かったと思う。
人口減少の地方では、駅や駅前再開発は大都会のようにうまくいくとは限らない。田舎になればなるほど難しい。今は、雑貨などはインターネットでお買い物をし、食料品は郊外型のスーパーやディスカウント店でお買い物をする時代。お買い物の方法の選択肢が増えたことがテナント誘致を難しくしている。20年後、廃線になるかもしれない時代に再開発することが正しいとは言えない。