田舎暮らしはいつまでも続けられない
和歌山県はポツンと一軒家というテレビ番組で紹介されることが多い。全国でも地価が下落している県で人口減少が止まらない。若者は大阪などの都会に出ていくし、ご老人は子供たちを頼って都会に出ていく。廃墟となった空き家は県内にあふれている。
昔は、55歳定年でその後は年金で悠々自適の老後生活を送っていた。今では、70歳まで働いて身体はボロボロで病院通いになり、田舎暮らしはきつくなっている。年金暮らしはできても毎週のように通院しなければならないために引っ越しする方もいる。
1時間に1本のバスに乗り、1時間ほどかけて病院に着き、5分ほどの診察のために1時間待たされて、会計と処方箋をもらうためにまた1時間以上待たされる。そんなことをしていれば1日かかってしまう。ご老人が町で暮らすようになるのもうなずける。
便利な土地に住みたいと思うようになり、田舎の過疎化が早まる。反対に駅近やスーパーや総合病院の近くは人気で人が集まるようになる。需要と供給が働き、田舎の土地は下落して都心の土地は値上がりするのも納得。
田舎暮らしに憧れる人は健康で元気な人。しかし、一旦病気になり身体の自由が利かなくなれば田舎暮らしは不便で仕方がない。人の身体は、いつまでも健康で元気でいることはない。いつかは老化によって歩行すら困難になる。そのことを考えれば田舎の過疎化は避けられない。
今、僕が住んでいる街の高齢化はかなりのもの。20年も経てば多くの方が亡くなっているが、この街に住みたいという人はそんなにいない。自然と街の人口は減少し、消滅の危機にあるのかもしれない。僕自身、介護が必要になれば施設に入っているだろう。