田舎の不動産は売れない
和歌山県有田郡湯浅町は、南海地震で7mほどの津波が押し寄せるかもしれないと言われている。津波に浸かりそうな土地は敬遠されるので空き家など安くても買い手がつかない状態になっている。30年ほど昔は、数千万円した土地が、今では1000万円もしないのに売れない。田舎では、こうした状態の空き家がドンドン増えている。
だからと言って、不動産が売れていないわけでなく、こんな田舎でも新築物件は相変わらず売れている。日本の中古住宅は如何にもみすぼらしく、リフォームしようと思えない物件が多い。リフォームすると、耐震補強工事がバカ高くつく物件も多い。戦後の建売住宅などは建て替えた方が安上がりになる物件も多い。
僕も25年前に建てた住宅を全体的にリフォームしようとすると、最新の耐震基準を満たしていないので内外装と耐震補強をしなければならないと見積もりを出してもらったが、建て替えても同じ値段だった。地盤改良などをすればもっと高額になるが、地震対策はまさかの時の保険だと思ってやっていただいた。
高温多湿の日本では昔から空き家は、更地にする費用を差し引いて販売されている場合が多い。空き家を購入するときに、仲介業者に更地にするからその費用250万円を差し引いて欲しいなどと言えば応じてくれる。それでも、道路が狭くて車が入らない空き家や急斜面の空き家などはなかなか売れない。
何しろ田舎の都市計画は江戸時代のまま。田んぼの路地を拡張しただけの道路も多く、クネクネしており区画整理など程遠い。小型車なら何とか通れる道も、急斜面だったり、大雨になると冠水したり。たまに、都会からやってきた人が眺望のよい土地で飲食店をするからと買ってくださる程度。
海外に行くと、キチンと区画整理された住宅地があり、広い敷地に手入れも行き届いた家があり、これなら中古物件でも買いたいと思う。新築は都心から遠くにあり、中古物件は都心に近いので人気もある。ローマに行ったときは5000年前の中古物件は大人気で、お金持ちが住んでいると伺った。