遅くまで仕事をしていることは良いことだ
僕が就職した会社は朝8時から5時までが勤務時間だったが、5時に帰社する人など誰もいなかった。上司は、夜8時ごろまで書類の整理や電話応対をしていた。8時から10時までは社内で上司や社長の創業当時のお話や指導を聞く時間で、10時から居酒屋に行き食事を済ませて、それからスナックやキャバレーに行く。独身寮に帰ってくるのは深夜だった。これが毎日続いているが、それが当時の働き方だった。
深夜遅くまで社内にいるのだが、朝は8時に朝礼があり上司の訓示はお決まりの天声人語や法人会の冊子やビジネス書からの抜粋。その後は、女子社員がお茶やインスタントコーヒーを入れて男性社員に配り、上司は新聞を読んでいる。新人社員は手配りチラシを持って団地に行って営業をしていた。僕は現場に行って工程表に従って工事が順調にいくように業者の手配をしていた。
お酒もたばこもしない僕には夜こそ苦痛で、さっさと独身寮に戻って建築設計や宅地建物取引主任者の資格を取得するための勉強がしたかった。独身寮では、夕方5時以降になると折詰弁当があり、これを食べて勉強したかった僕は夜6時以降近くの独身寮に帰宅して勉強し始めた。上司の目が変わり、「付き合いの悪い奴と一緒に仕事はできないよなぁ」と苛められるようになったので退職することにした。
上司にすれば連帯感を持つには一緒に飲食することが一番だと思っていたのだろうが、毎日になるといい加減にしてくださいというのが新人の本音。自分の思い込みで社員を遅くまで付き合わせるのは良くないと僕は思う。遅くまで付き合わせると逆効果になってしまうこともある。仕事が終わればさっさと帰宅させてあげるのも大切なこと。新人は、上司には逆らえない。そのことも考慮しなければならない。
ちなみに、この会社は倒産し、当時の社員はバラバラになり同期の社員は健康を害して病院通いになっている。一番の友達だった社員は若くして健康を害して死亡した。居酒屋での暴飲暴食と不健康な生活習慣が身体をむしばんでいったのだと思う。社長は法人会の集まりや保険業や病院業、車の販売店など他業種への参加など手を広げていたので住宅部門に集中できず管理職任せだった。