講釈(こうしゃく)たれになってはいけません
僕は幼い頃、母親から家は貧乏だからお前には何の財産も残してやれないが、出世する方法を教えてあげると言われた。人はついつい知っていることは話したくなるものですが、相手の感情を考慮せずに講釈ばかりではひんしゅくを買ってしまいます。知っていることでも知らないふりができ、相手を讃嘆できる度量を持ちなさい。
自分ができることは自慢したくなるものですが、自慢ほど相手に嫌われるものはありません。やれと言われればいつできても、みずから自慢することなく、謙虚で静かに確実にやりこなし、しかも、相手に花を持たせてあげるようでなければ多くの人を動かすことはできません。
また、中途半端な情報で知ったかぶりをすれば、困ったことになるのがオチですから、中途半端な情報で行動するのではなく、確実な裏付けがある情報だけを選んで行動するようにしなさい。軽挙妄動は厳に慎んでいなければ、自分の信頼を一瞬にしてなくすこともあるから気を付けるように。
こうした事から、僕はむしろ知らないふりをするようになった。謙虚に教えを乞うことで、いろいろな人のいろいろな考えを知ることができ、しかも、教えてくださった人は喜んでくださっている。みずから知っていることを話していると、欲しい情報が入ってこなくなるし、偉そうに思われて嫌われることも知った。