先んずれば人を制す
僕は中学を卒業したら働こうと思っていたので勉強はしなかった。成績は、クラスで下から3番目程度で誰もが僕をバカだと思っていた。中学3年生の2学期が終わり、進学する友達からバカ呼ばわりされて頭にきた僕は、冬休みから猛然と勉強した。僕は、バカと言われて黙っているような性格ではなかった。
3学期が始まると、担任の先生に地元で一番難しい進学校を受験すると言ったので、先生は驚き、自殺するから止めろと家まで来て説得した。2月の最終学力テストで、僕は学年でも優秀な成績を収めてその進学校の合格圏内に入った。しかし、担任の先生はカンニングしたのだと決めつけていた。
どうせ不合格になるに決まっていると周りから思いこまれていたが、かなり優秀な成績で合格した。それでもクラスに入ると、地元の級友から「こいつは、バカだったんだ!」と言われる。僕は、勉強は予習していれば褒められて、後からすればバカにされることを嫌というほど学んだ。それ以降、高校では先んじて勉強するようにし、進学クラスに進級して大学に進学した。
仕事の世界でも、業務内容を教えてもらってからやるのではなく、積極的に自分から質問して学び取るようにしてきた。仕事の世界で学ぶことは多く、学ぶことで広がりも生まれてくる。学ぶほどに知識が深まり、それまでの経験を活かして、更に興味がわいてくる。気が付けば、人からバカにされることはなくなり、尊敬されているようになった。
仕事の世界では、黙っていると仕事の手順がわからず上司やお客様から叱られる。それなら、そうした事態を避けるために、先に仕事の手順を質問して納得して覚えるようにしておけば、お客様にご迷惑をおかけすることはない。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」だし、「先んずれば人を制す」なのだ。