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わかるとできる物語 第3章 10 仕事にはルールがある

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幹部社員に簿記の知識がなく自社商品知識がなければ、真剣勝負としての仕事ができないので、気に入った取り巻きを大事にして役職を与えたり、経費の無駄使いに気を配らなくなったり、収益を産みだせなくなり、他の管理職をバカにするようになる。感情的な言動が目立つようになり、業績を向上させることができない無能さを誰かのせいにしてしまう。

 

仕事のできない社員は、自分勝手なルールを作ってしまう。この部署は自分勝手にできるので出張予定や経費などはやりたい放題で良い。人事異動は毎月のようにあり、お気に入りのものは近くに配置し、気に入らない者は遠くに移動させる。業績向上のために自分を鍛えることを忘れ、部下にその責任を押し付ける。人の好き嫌いが激しくなっていく。

 

会社には就業規則があり、ほとんどの中小企業では社長が経費など使い放題、人事はお気に入りの人ばかりにしているが、僕の会社では社長には出張手当を出さなくても自分たちは頂くし、社員の懇親を目的とした飲食代は経費として認めても、社長が同じことをした飲食代は経費として認めないことがあった。税理士からも会社として機能していないと指摘されていた。

 

こうしたルールを無視した仕事が行われるようになると、次の社長は戸惑うだろう。会社で決めたルールは誰かを除外して機能させるようなことがあってはならない。仕事のできる社員であれば例外なくルールの適用を考えるだろうが、好き嫌いで仕事をしていれば、気に入らない社員だけ適用外にする。そんな会社が長く続くことはない。

 

就業規則で決められていることでも、管理職にある者が、そうして欲しいのかと社員に問いかけて、そうして欲しいという社員にだけ適用するというやり方は、会社が大きくなると通用しなくなる。放置すれば、いつか、その管理職の職権乱用だと問われる事態となる。ルールは誰が何と言おうとも全員に適用すべきものは分け隔てなく適用するのが管理する者の務めなのだ。

 

日本を変えたいという理想に燃えて起業したものの、創業の精神を忘れて自分勝手なルールで仕事を行い、業績が下降しているのに管理職である自分の責任だと思わず、感情的に動き、経費の無駄使いをしていても平気であれば赤字の会社になるのも当然。社会に貢献して、人々の役に立つことをやろうという大義を忘れた集まりになり、誰もが不満を募っていた。

 

管理能力のない管理職員は会社の癌となっていく。役職にしがみつく社員ほど仕事ができない。キチンとした仕事のできる社員になっていただくために、僕は毎日全社員にメールを送るようにシステム部長に厳重注意して配信した。それが「おはよう本社です」というタイトルになって数年経った今も続いている。

 

中小企業経営者は、現場に飛び込んで現場で必死になって働き続けなければ社員はついてこない。好業績を出すには、経営者がみずから最前線で働き続けることで、社員の誰よりも商品知識を持ち、営業ができ、向上心を失わず、どの部署にいても「俺について来い!」と言い続けなければならない。社長は、ひと時も気を許してはならないことを僕は思い知ることとなる。

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