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わかるとできる物語 第3章 9 簿記を知らない幹部は使い物にならない

40歳 かしなが

僕の失敗は、東京に本社を置き、簿記を知らない人たちにFCの運営を任せていたことだった。簿記を知らなければ、マーケット調査もできないし、事業計画書の作成もできないし、エリア調査もなければ、損益計算書も書けないので教室運営の経営分析もできない。直営教室を40教室作ればよいと、ただ感情で動く人になっていることを見抜けなかったので損失を大きくしてしまった。

 

教室をひとつでも作ろうと思えば、事業計画書が必ず必要で、それに付随してエリア調査、スタッフ採用計画、スタッフ育成計画、資金繰り表の作成、損益分析、販促計画、投資資金と投資回収計画、などがあってこその出店だが、当時はそのようなものは全くなかったことを知らなかった。しかも、担当幹部は昼から出社する遅刻の常習犯で、部下の信頼は全くなかった。採用面接に来た人や業者様からお叱りのメールを頂いて気が付いた。

 

和歌山にいて教材の製作をしていた僕には、東京本社でこのようなことが行われていることが知らされていなかった。遅刻常習は本社ぐるみで隠ぺいされていた。思い付きで出張するので、その幹部社員の旅費交通費はひと月で400万円ほども使っていることも知らされていなかった。担当幹部社員に「わかるとできる」には簿記の講座があるので、それで勉強するように話して降格処分とし、必要なら東京本社を解体しなければFCとしては存続できないと思った。

 

和歌山から東京本社に行くようになり、会議にも出席するようになり、担当幹部社員に「君がエクシブの下見に行くのはわかるが、どうして女子社員と同行するのか?」と問い詰めると、机を蹴って「こんな会社やってられない!」と出ていった。直営教室の再生に吉村ブロック長ともうひとり男性社員を同行して僕は40教室を巡回したが「社長は、吉村さんとできている」と噂するようになったので、君が退職しなければ本社に大ナタを振るうと話した。

 

中小企業を経営する社長としての甘さを僕はいつも痛感する。いつも、何かがおかしくなっていくが、そのほとんどは感情的なモノで、その感情に振り回されるのはビジネススキルがないためだ。ITスキルや簿記会計の知識、労務や財務の知識、毎日のように新しいスキルを吸収しようとする向上心など、自分はやっているから大丈夫だろうと思うのは大きな失策に通じていく。

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