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社長 それをやっちゃいかんでしょ!その壱拾七

会社の経営がうまくいかない中小企業で自殺する社長は多い。資金繰りに困り、給与が支払えなくなり、従業員は路頭に迷う。業者への支払いができないので迷惑をかける。多額の負債を抱えているので「お金を支払ってください」と、一日中催促される。会社が倒産しても、銀行融資の連帯保証は代表取締役であるのが普通で、会社を失うと、個人の財産も失い家族は路頭に迷う。

 

自殺して生命保険で清算しようと思う人もいるし、この苦しさから逃れたいと思う人もいるだろうし、生きていることに自信を無くしてしまう人もいる。ひとつの光明すら見えない状態に精神も不安定になり、心を病んでいく。毎年3万人におよぶ自殺者のうち、中小企業の社長はかなりの割合を占めている。責任感が強い人ほど追い込まれていく。

 

赤字企業の経営者になると、家族は心配しているが、生活費をくれない妻はご主人には冷たい。従業員は、いつ給与を支払ってくれるのかと心配そうに聞く。取引業者は、請求書が溜まっているから支払ってくれと言う。銀行からは返済が遅れているから早く口座に入金してくださいと電話が毎日かけてくる。しかし、ポケットには小銭しかない。

 

俺はいったい何をやってきたのだろうと思うが、涙の一滴すら出てこない。情けない自分に悲しみや怒りすら感じない。夜の街を歩いていると、街頭に映る景色に吸い込まれるようにボーっとしている。どうやって帰ってきたのかもわからない。夜中、寝ることもできない。起きていても、仕事をする気にもならない。自殺しようとして、ハッと気が付くか、気が付かないでそのまま死ぬか、そこまで追い詰められる。

 

死ぬなと叫ぶ、死ねば家族が悲しむと怒鳴る。どんなに苦しくても、何も感じなくなっても、それでも生きているだけでいいのだと、どんなに叫んでも、死ぬ社長もいる。どんな状態でも生きていれば、幸せだと言ってくれる人がいて、何もしなくたって何とかなるのに、それでも死を選ぶ社長はバカだと叫んでも・・・それをやっちゃいかんでしょ!

 

 

 

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