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他人の意見を真摯に聞く姿勢を失くせば己を見失う。

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勇ましい意見や過激な意見に人は同調しがちで、撤退や敗北を認める行為には躊躇しがち。終戦にすべきという昭和天皇のお考えを受け入れることなく、断固戦うという姿勢を貫く若い将校も兵士も多かった。彼らの姿勢は、日本を亡ぼす行為に及んでも敗北を認めないという過激な考えだった。

 

戦争を終結すべきという意見を言おうものなら殺される恐れがあるとき、人はそうした意見具申を躊躇し、最後の一兵にいたるまで戦うと叫ぶ者や全兵士による特攻によって戦局を変えると信じる者も多かったし、そうした意見ほど受け入れやすく、反対の意見を言う人は殺されかねなかった。

 

企業でも、店舗の増設や拡大、市場の開発、新商品の開発、海外進出など勇ましい意見を言う従業員を素晴らしいと褒め称え、海外からの撤退や赤字店舗の閉店、売れる見込みが薄い新商品の開発よりも商品の絞り込みが大切などという消極的な意見は受け入れようとしないのが世の常である。

 

仕事をしていても周りの考えに配慮することなく、自分の仕事に何かしら注意されたり、指導を受けたりすると途端に感情的になる人も多い。「私は、頑張っている!」という感情的な意見は、死んでいった兵士に申し訳が立たないから、あくまでも戦うべきだと主張する兵士の考えと同じ事。

 

対局を観ることのない考えは、国を亡ぼすように会社も滅ぼす。できるだけ多くの国民を生かして、未来を新たに創ってもらうよう被害を最小限度に抑えようとする上司を臆病だと罵るように、会社でもリストラや規模縮小の意見に対して感情的になる従業員も多いのは残念なこと。他人の意見を真摯に聞く姿勢を失くせば己を見失う。

 

 

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