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大いなる誤解に頭を垂れる  

 

若い起業家は、売り上げを儲けと勘違いするような表現をして自慢しがち。僕の知っている創業者も赤字経営なのに黒字だとご両親に報告していた。相談を受けるたびに感情的になって従業員を𠮟りつける態度を改め、彼らといっしょに汗をかくようにアドバイスしていた。

 

資金繰りがつかないストレスから出社できなくなり心を病んで通院するようになる。創業時にいた従業員は社長についていけず全員辞めていった。新人の従業員はめったに出社してこない社長から頑張ってくださいと言われるだけで具体的な方策はわからない。業績は低迷して赤字は埋まらないので、廃業するようにアドバイスした。

 

いっしょに暮している恋人がいたが、やつれていく姿にあきれたのだろうか?恋人は出て行った。そんな私生活を知らない僕は、死亡する3日前に電話を受けて資金のことは心配しないでいいからさっさと廃業して、治療に専念するようにアドバイスした。薬の副作用なのか、本人は亡くなった。

 

死亡の知らせを受けた僕は廃業の手続きを済ませ、葬式の席で母親から、「あなたは儲かっているのに、子供に廃業するように話していたのはどうしてですか!」と、厳しく問い詰められた。父親は感情的になっている母親を抱きしめ僕を睨んで「もういい」と妻に話していた。

 

今は何を言っても聞き入れてくれないと思った僕は、ただ頭を下げて謝った。「うちの子供は頑張っていたのに、あなただけが反対したのはどうしてですか!」これまで支援してきた努力が無に帰す瞬間だった。怒りと悲しみとが交錯していたが何も言わずにただ頭を下げていた。

 

その後、廃業を担当していただいた税理士の方からご両親に説明があったらしくわかってくださいましたと報告を受けた。一方的な情報だけをうのみにして判断すると、僕はとんでもない悪者になり、第三者からの報告を受ければ、僕はお人よしになる。なんとも苦い経験を何度かしている。

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